日本では、1990年代以降、ペットを家族と見なす人が増大している。それは、近年、未婚化や夫婦関係の空洞化など家族が衰退し、自分が必要とされ大切にされる経験が、現実の家族では体験しにくくなったことに対応している。そして、ペットは、「必要とされ大切にされる」体験を与えるのに適切な存在として、家族の欠如を埋める機能を果たしている。
ペットの家族化は、現実の人間関係に大きな影響を与えるだけでなく、経済的な効果も大きくなっている。家族社会学の観点から、ペットの家族化の様相を考察する。
山田昌弘(中央大学、社会学)